5.あきらめの先
母から離れたくて高校卒業と共に家を飛び出した。だけど、自分がどうなりたいのか、どうすればいいのか、求める安心や幸せがなにかも分からず、自分を騙しながらダメ男や酒に溺れて何年も何年も時間を無駄にした。これは母のせいではない。わたしがだらしなくて弱かったからだと思う。
周りの人たちがきちんと生きていることに劣等感を勝手に感じ、ひどい酒の飲み方と、だらしない生活を何年も続けた。
心の底からほんとうに疲れたなぁ・・と思った。人生やり直せるならどこからだろうと考えたら、卵子と精子が出会うところに戻って出会うのをやめさせたいなぁ、と思った。
「もういい。いつでも死ねるように、していなかったやりたかったことをしよう」と思ったときに、”していなかったやりたかったこと“の中にタトゥーがあった。
ピアスやタトゥーのことについて「親からもらった体に!」と騒ぐ人がどきどきいるけれど、それは大切に育ててもらった人が言えることだと思う。逆に言うなら、親なら自分が生んだものに何をしてもいいということなのだろうか。 わたしは母からもらった痛みに自分で望んだ痛みを上書きし、だいすきな絵を刻んで自分の体だと実感したかった。
わたしは人魚が好きなので、タトゥー用のデザイン画として人魚になった自分の絵を描いた。
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